“モーション”の災厄と幸せ

2015年9月2日(水)05時40分更新
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 現在LPGA会長の小林浩美が現役時代、米女子ツアー(LPGA)でプレーしていた頃のキャディーが今、注目を集めている。トム“モーション”フランク。優しい語り口のベテランキャディで、小林の前は中島千尋のバッグを担いだこともあり、岡本綾子と組んだ経験もあるはずだ。
 現在の”ボス”はクリス・タムリス(米)。先週の米女子ツアー、ヨコハマタイヤLPGAクラシック(アラバマ州)で初優勝を飾ったばかりの選手だ。その優勝シーンで、タムリスが遠慮する”モーション”を晴れがましい表彰式の場に引っ張り出し、「優勝に最もふさわしいキャディ」と絶賛したことで、スポットライトが当たっているのだ。モーションにまつわるフランクのストーリーが、感動を集めている。
 実はモーション、4月にとんだ災厄に見舞われていた。
 ロッテ選手権で仕事をするため、ハワイ、オアフ島にいた時のこと。地元、テキサス州ヒューストンを襲った雷が、モーションの家を直撃。火災となり、家を失ってしまったのだ。
 14歳の時、米ツアー選手のカーミット・ザーレーと教会で出会ったことがきっかけでゴルフを始め、9ホールのエキシビションマッチが地元で行われた縁でアーノルド・パーマーのバッグを担いだのを皮切りにキャディとなった。LPGAを”主戦場”にしたのは1987年から。1989年に渡米した中島、1990年から参戦した小林とは深い縁がある。しばらく日本の女子ツアーでキャディをしていた時期もある。

 四半世紀以上のキャディ経験で、コンビを組んだ選手は数多い。その時々で”記念品”として取っておいた大事な宝物の数々が、今回の火災で失われてしまった。それでもモーションは、あくまで前向き。自分をサポートしてくれる友人やツアー仲間の気持ちのほうを大切にすることを口にして、感動を呼んでいる。
 Facebookで寄付を集める「gofundme」では、モーションのための寄付がすでに2万8000ドル(約336万円)近く集まっている。これもモーションの人柄だろうか。最高の笑顔で友たちの支援に応えるモーションの姿が、目に浮かぶ。


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