女性差別で霞が関はアウト!?

2017年1月14日(土)04時58分更新
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 小池百合子都知事が2020年東京五輪のゴルフ競技会場について発言した。1月13日の会見で質問され、現在、会場となっている霞ヶ関カンツリー倶楽部(霞が関)のあり方に疑問を呈すると同時に、会場問題について五輪組織委員会の対処を促したのだ。

 「21世紀のこの時代に女性が正会員には慣れないと言うことには違和感を感じます」。この言葉の重さを、霞ヶ関CCでの五輪を推進する関係者は分かっているのだろうか。

名門と言われるプライベートコースで、日本にゴルフブームを呼び込んだ1957(昭和32)年カナダカップ(現ワールドカップ)の会場にもなった霞が関CC。日本オープンの舞台にも4度なっているコースそのものが悪いというわけでなない。だが、小池都知事の言葉を引くまでもなく、五輪の会場としてはふさわしくないだろう。霞が関は「プライベートクラブ」であるからだ。

女性が正会員になれなくても、プライベートクラブとしてなら自由にすればいい。だが、ゴルフという競技を世界中の人々に知らしめる五輪となれば、そこでの開催は無理。五輪競技になるということは、そのスポーツを世界中にアピールすることでもある。アピールというとポジティブな部分だけがクローズアップされがちだが、ネガティブな部分もあることを忘れてはならない。

『スポーツをすることは人権の一つである、。すべての個人はいかなる種類の差別も受けることなく、オリンピック精神に基づき、スポーツをする機会を与えられなければならない。オリンピック精神に置いては友情、連帯、フェアプレーの精神と共に相互理解が求められる』。オリンピック憲章の冒頭『オリンピズムの根本原則4』を読めば、霞ヶ関CCのスタンスが、これに合わないことはすぐにわかるだろう。

『差別』はする側でなく、される側が感じるものだ。女性の正会員がいないという現実は『差別』以外の何物でもない。正会員でないと言うことは、クラブの運営に口を出せないということ。そういうゴルフ場が税金を使い、ゴルフというスポーツをアピールする五輪の舞台になってはならない。

世界中が注目するスポーツイベント。それが五輪だ。その競技がどんなものかを知らしめる機会、と言い換えてもいい。プレーしたことがない人どころか、それまで興味のなかった人もその競技を見る。レスリングについて考えてみるとわかりやすい。実戦を経験したことがなくても、オリンピックで吉田沙保里や伊調馨が活躍するのを見て、興味を持った人は少なくないはずだ。テレビを見ながらルールを覚え、興味を深める。競技を始めたり、子供にさせたりする人がその一部にはいるはずだ。普段そのスポーツに接していない人にとっては、五輪観戦で得た感動こそ入口となる。そう、五輪は世界世論を相手にしたビッグイベントなのだ。

ゴルフならどうだろう。プレーしたことがない人、見たことがない人が東京五輪を見て興味を示したとする。そこで、開催コースが「女性は正会員に慣れない敷居の高い名門コース」と分かったらどう感じるか。その世界にあこがれる人もいるだろうが、一方で「イマドキ、そんな差別があるの?ゴルフってそんなスポーツなのか」と不快に思う人もいるはずだ。

霞が関CCを五輪コースに選ぶということは、前者だけを相手にしていると言うことを意味している。後者のことは全く相手にしていない。最大の問題はそこにある。正会員になれない女性だけでなない。名門コースのメンバーになれない人たちの気持ちを分かろうともしない考え方だ。ゴルフへの興味をそんなことで失わせることなど、あってはならない。

もし、このまま霞が関CCで東京五輪のゴルフ競技が行われれば、ゴルフというスポーツのネガティブキャンペーンにつながりかねない。JGA(日本ゴルフ協会=NF)だけでなく、その決定を承認したIGF(国際ゴルフ連盟)も含めて、ゴルフという競技のネガティブキャンペーンを行っているのと同様だ。『女性を差別するプライベートコースで五輪競技を行う』ようなことがまかり通るのがゴルフ、だと。

小池都知事は、こうも言った。「(女性が正会員に慣れないという)この件に関してIOCの役員と話したら『オー、ノー!』と言っていました」。IOCの良識に期待するのはもちろんだが、それ以前に霞ヶ関CCでの東京五輪を強行しようとしている人々が気づいてくれることを心から祈りたい。

(ゴルフジャーナリスト・遠藤淳子)IMG_20170111_152655


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