霞が関CC細則変更も問題山積

2017年3月20日(月)07時05分更新
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霞が関カンツリー倶楽部(埼玉県)が、女性正会員受け入れを決定した。

 20日、同コースで開かれた理事会は理事15人中14人が出席。出席者の全員一致で男性のみでなく女性も正会員になれるよう、定款の細則を変更した。

同コースは、2020年東京五輪ゴルフ会場に決定しているが、様々な理由から「ふさわしくない」との反対意見が噴出。中でも日本ゴルフ改革会議(大宅映子議長)が、五輪組織委員会や丸川珠代オリ・パラ大臣、小池百合子東京都知事などに申し入れを繰り返していた。

霞が関CCが五輪会場としてふさわしくない理由の一つが、女性の正会員を受け入れていない点。あらゆる差別を認めない五輪に合わないと、IOC(国際オリンピック協会)やIGF(国際ゴルフ連盟)も正会員を男性のみとしている定款催促の変更を申し入れていた。これに伴い、同コースは、会員に対して3回、説明会を繰り返し、延べ約500人が出席。20日の理事会で細則を変更し、女性正会員の受け入れを決めた。

霞が関CCは、プレスリリースにより、これを発表。今泉博総支配人は「これまでにもそう言う話は理事会に出ていた議題。オリンピックをするとかしないとかに関係なく、世界的な流れとして自主的に門戸を開いたと言うこと」と、あくまでも五輪のための催促変更ではなく、”外圧“にも屈したわけではないことを強調した。

実は、女性が正会員になれないと言うのは、霞ヶ関CCが五輪会場にふさわしくない理由の、ホンの一部でしかない。一番大きな問題は、同コースがメンバーシップである点だ。そもそも、世界のゴルフ団体がひとつになって五輪でのゴルフ競技開催を後押しした裏には、ゴルフ人口の減少があり、これに対する起爆剤として五輪で競技を行おうとした背景がある。IF(International Federation=国際連盟)であるIGFは、そのために組織された団体だ。にもかかわらず、リオ・デ・ジャネイロに続いて五輪でゴルフが行われる東京大会の会場が、その後、一般ゴルファーが簡単にプレーできない名門メンバーシップコースの霞ヶ関CCでは、レガシーにならず、さらに五輪でゴルフを行おうとしている元々の動機にもそぐわない。

それだけではない。霞が関CCは中央区晴海の選手村から約70㎞も離れており、コンパクト五輪の概念からは程遠い。コース周辺の宿泊施設も限られている。通常の日曜日でもコースから都内に戻るには大渋滞に巻き込まれるのが当たり前となっている。圏央道、関越道、外環道、首都高に“五輪レーン”を作って対応するには補償金の問題や、左右に振られる車線をどうコントロールするかなど問題山積だ。

また、暑さの問題も深刻だ。開催時期が暑さがピークに達する8月半ばであり、霞ヶ関CCのある川越市周辺は、関東でも有数の猛暑で知られる地域。選手はもちろんだが、観戦に訪れたギャラリーのうち何人が熱中症で倒れるかわからない。これに対する責任の所在も明らかではない。

にもかかわらず、事実上、五輪ゴルフ会場を決定するNF(National Federation=国内連盟)である日本ゴルフ協会(JGA=竹田恒正会長)は、あくまでも霞が関CCでの開催を推し進める方針を変えようとしない。女性差別問題さえクリアすれば霞が関CCで五輪を開催することを宣言してはばからないが、全くおかしな話としか言いようがない。

 霞ヶ関CCが女性を正会員に受け入れたからと言って、五輪ゴルフ会場問題が解決したと思うのは大まちがいだ。五輪会場に決まっている霞が関CC東コースは、改造が終わり、25日にグランドオープンするが、この改造が五輪のためではない、と公言されているのと同様に、細則変更も五輪とは関係のない話であるというのが正しいところだ。

 年頭の記者会見で「霞が関は誰でもプレーできるんです」などと答え、名門コースになど縁のない一般ゴルファーの実情など何も理解していない会長をいただく公益財団法人JGAが、今のままで果たしてNFとしてふさわしいのか。五輪会場問題は、そのあたりも含めて決してまだ解決したわけではない。(ゴルフジャーナリスト・遠藤淳子)


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